教育委員会へ提出した文書1 ホームスクーリングと法律

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ホームスクーリングと法律の関係を整理してみます。
(これは、南山城村教育委員会へ渡した文書です)

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 結論から言うと、ホームスクーリングは違法でもないし法的裏付けもない「法的未整備状態」。

[就学義務の根拠]
 義務教育は「教育義務」と「就学義務」に大別され、先進国は教育義務を採用する国が多い中、日本は就学義務であるとされる。その根拠は学校教育法第22条、第39条にあり、9年間の義務教育年限が定められ、保護者は、保護する子女の6歳に達した日の翌日以降における最初の学年の初めから、満15歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを義務教育諸学校に就学させなければならないことになっている。それに対する罰則規定として、学校教育法第91条には、就学義務の督促を受け、なお履行しない者には、10万円以下の罰金とある。
 しかし、就学義務はわずか学校教育法においてのみみられる規定であり、教育という基本的人権の根本たるテーマを上位法に求めれば、「就学義務」を教条的に運用することの違法性が浮き彫りとなる。そのことが「法的未整備状態」といわれるゆえんである。

日本国憲法
第26条 教育を受ける権利、義務教育
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
1 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 義務は「普通教育」であって「学校教育」ではない。「普通教育」とは、職業教育、専門教育、特殊教育ではない一般的基礎的教育を意味するとされる。ホームスクーリングが親による教育遺棄であるかどうかは、それが普通教育であるかどうかによる。「普通教育は学校教育である必要はなく、憲法上は家庭で教育をほどこす自由があるというべきである(松井茂記氏『日本国憲法』有斐閣、489頁」)。

教育基本法
 憲法に準ずる性格をもつ教育基本法で、上位法の憲法にある「普通教育」という言葉がそのまま使われている。ここでも就学義務規定は見られない。社会教育の項目についても、注目すべきである。「家庭教育」が国及び自治体によって「奨励されなければならない」ものと明示されている。「社会教育」というものを、行政は積極的に受け入れなければならない。

第4条 義務教育 
国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う。
2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

第7条 社会教育 
家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2 国及び、地方公共団体は、図書館、博物館、公民館などの施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。

新・教育基本法
 保護者に義務づけられているのが「普通教育」であって「学校教育」でないことはなにも変わっていない。また、家庭教育、社会教育、生涯学習が明確に位置づけられ、強調されている。その文脈からすると、親が責任を持つホームスクーリングはむしろ奨励されることになる。

(生涯学習の理念)
第3条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

(義務教育)
第5条 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
3 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。

(学校教育)
第6条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

(家庭教育)
第10条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

(社会教育)
第12条 個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。

(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)
第13条 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

(教育行政)
第16条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。

学校教育法
 最も問題がある就学義務は、学校教育法においてのみ見られる。憲法および新旧の教育基本法で使われている「義務」の意味は、学校が国民に対して負っているという意味の義務であって、大日本帝国憲法での兵役義務のように「子どもに登校を義務づけている」と解釈されることは、現在の憲法の下で、あるいは基本的人権を重んじる民主主義国家にあまねくあり得ない。憲法や教育基本法は、国家権力による思想洗脳から親の自然権である家庭教育を守り、さらには主権在民の考え方によって学校制度が守られるために生まれたものであって、普遍的な原理である。

第22条
保護者(子女に対して親権を行う者、親権を行う者のないときは、未成年後見人をいう。以下同じ)は、子女の満6才に達した日の翌日以降における最初の学年の初めから、満12才に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部に就学させる義務を負う。ただし、子女が、満12歳に達した日の属する学年の終わりまでに小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部の課程を修了しないときは、満15歳に達した日の属する学年の終わり(それまでの間において当該教育を修了したときは、その修了した日の属する学年の終わり)までとする。

第39条
保護者は、子女が小学校又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の小学部の課程を修了した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満15才に達した日の属する学年の終わりまで、これを、中学校、中等教育学校の前期課程又は盲学校、聾学校若しくは養護学校の中学部に就学させる義務を負う。

第91条 
第22条第一項又は第39条第一項の規定による義務教育履行の催促を受け、なお履行しない場合は、これを10万円以下の罰金に処する

 法関係者の多くは「行政が、ホームスクーリングを訴えたとしても、行政に勝ち目はないだろう」という見解を示す。ただし日本国内では米国のような裁判事例はなく、当然判例もない。

世界人権宣言
第26条の3  親は、子どもの教育の種類を選択する優先的権利を有する

 世界人権宣言は1948年に国連総会にて採択され、日本も1979年に世界人権宣言を条約化した「国際人権規約」を批准した。

国際人権規約
第13条
3 この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、公の機関によって設置される学校以外の学校であって国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。

 「国際人権規約」の批准国である日本は、親が普通教育の内容を決める優先的権利をもっていることを公的に認めたこととなる。

国連子どもの権利条約
 国際人権条約と同様に、親が普通教育の内容を決める優先的権利をもっていることを明文化している。また、教育とは「児童の最善の利益」が優先されること、「父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする」が定められている。

第29条
1 締約国は、児童の教育が次のことを指向すべきことに同意する。
(a)児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
(b)人権及び基本的自由並びに国際連合憲章にうたう原則の尊重を育成すること。
(c)児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること。
(d)すべての人民の間の、種族的、国民的及び宗教的集団の間の並びに原住民である者の理解、平和、寛容、両性の平等及び友好の精神に従い、自由な社会における責任ある生活のために児童に準備させること。
(e)自然環境の尊重を育成すること。
2 この条又は前条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行われる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。

第3条
1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。

第18条
1 締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。
2 締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。

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