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60年後も通用する教育を始めよう!!

新しい学びの場をつくる

協定書の調印

地域の反応

童仙房の区役員と京大が対面したのは3月2-3日。京大チームが童仙房へ1泊で来られました。そのとき、まだ野殿童仙房小学校は小学校として存続していました。当初より、区役員は跡地利用を考えなければいけないこともあり、積極的でした。企業と違い、京大ならば、しかも、教育ならば、利害のからまない話であることが明確なので、最も進めやすい跡地利用だとういわけです。

京大は、地域の感触を確かめ、地域は、京大の意向を確かめ合いました。地域は、とにかくどんどん話を進めていこうというノリでしたが、かといって具体的に何をどう?となると案がなかなかでません。京大側は、拙速を避け、地域と話し合いながら、一歩ずつ確実に、というスタンスです。

地域の役員さんたちはもどかしさを感じたようですが、私は逆に相当な手応えを感じました。「障害は何もない」ことが確認できれば、急ぐ必要などなく、時に応じて事は進んでいくはずです。

さっそく、廃校になる前に跡地利用の要望書が京大から村長宛に出されました。

寄り合い(京大と地域住民の初顔合わせ)

しかし、役員だけで跡地利用や地域活性が進むものではありません。地域住民が知らないうちに話が公になるのはよくありません。京大からの呼びかけで地域住民と寄り合いをもつのが自然でスムーズだろうというわけで、京大からの挨拶状を作っていただき、京大の名入り封筒に入れて、区民に全戸配布しました。文中で、4月29日夜8時から、小学校跡地にて、寄り合いを呼びかけました(京都大学大学院教育学研究科のサイト)。4月1日に廃校になって初めて、当プロジェクトが小学校施設を使います。

田舎の地域では、都会と違い、「協力をたのむ」「協力しよう」という動き方がふつうであって、自発的な動き方はあまり見かけません。この寄り合いは、協力を求めるものではなく、地域の役員からの呼びかけではなく、未だ見知らぬ京大からの呼びかけであり、そこへ参加する動機は、自発以外にありません。そういう形で、区民が動くものかどうか、わかりませんでした。が、今後の展開を考えると、役員が協力を求めて動員するのではなく、全くの自発を基本とした方がいいはずです。だって、生涯学習とは、たのまれてするものではありませんから。

さて、当日、ふつうの小学校より小さめの教室に、入りきらないほどの人が来ました。野殿童仙房地区合わせて、約110世帯、約350人です。参加したのは、区民35人ほど(30世帯)で、さらに京大チームが11人です。前平先生のお話が30分ほどあって、そのあと意見交換。あまり意見は出ないかなと思っていましたが、その予想はまるきりハズレでした。ほぼとぎれることなく、挙手が続き、話がだんだん盛り上がっていきました。最初は、京大に何かをしてほしいという意見でしたが、しだいに、あれをしよう、これをしようという意見が出てきて、「これは童仙房の第二次開拓だ!!」(童仙房は明治初期からの開拓地です)という意見まで飛び出しました。童仙房区長が、「それでは、生涯学習推進委員会をつくって継続させていきましょう」と締めくくりました。

この寄り合いの成果は、区民への周知であると同時に、自然な流れで、推進委員会が生まれたことでしょう。

協定の締結

地域住民の皆がこのプロジェクトを知り、推進しようという気運が盛り上がったところで、次になすべきことは、運動の「形」です。大学と地域の連携は各地でさかんですが、地域とは行政を指すのがふつうです。ところが、南山城村では、村が積極的に動こうとしなかった(否定もしない)のを受けて、野殿区・童仙房区が主体となって、跡地利用を村からまかせてもらい、区が主体となって、京大と連携する形が具体化してきました。「区」とは、行政機関ではなく、コミュニティです。大学と地域コミュニティの連携です。もしかしたら、他に例のない、初めてのことなのかも知れません。

連携を協定という形で実現する準備が始まりました。地域側では、連携自体に問題はなく、跡地利用を村との間で整理することです。京大は大きな組織なので、協定そのものが検討され、とまどいもあったようですが、京都大学大学院教育学研究科(教育学部)と地域との協定が、当初の案通りでゴーがでました。6月23日に、野殿童仙房小学校跡地で、調印式を行います。

協 定 書

京都大学大学院教育学研究科と京都府相楽郡南山城村野殿区・童仙房区は、生涯学習の理論と実践の発展に寄与することを目的に、平成18年6月23日から平成19年3月31日まで、野殿童仙房小学校跡地および野殿童仙房保育園跡地を拠点として活用し、共同で任に当たる。この主体を野殿童仙房生涯学習推進委員会として組織する。

平成18年6月23日

教育学研究科長
野殿区長
童仙房区長

その1週間前、6月17日に、京大の学生さんが準備に来てくれました。掃除、飾り付けなど行いました。23-24日にかけて、小学校内で京大グループが初めて宿泊することとなるので、その準備もあります。畳マットを京大が購入し、また、地域から中古畳が搬入されました。

いよいよです。手作りの調印式です。当日、京大チームは10人来てくださいました。寄り合いは教室を使いましたが、今度は体育館です。マイク、椅子等の備品がそのまま残っているので、段取りはスムーズです。ステージに竹灯籠とステンドグラスをセット。

19時、予定時刻となりましたが、少し遅れて19時20分開会。来場者は地域の人が50人程度です。最初は調印の儀、厳粛な雰囲気で行われ、表紙付きの協定書を披露し、これをもって、野殿童仙房生涯学習推進委員会が正式に設立しました。野殿区長が推進委員会の会長に就任し、ごあいさつ。続いて10分ほど野童太鼓の演奏。

そして、京都大学大学院教育学研究科長・川崎先生の講演。「理論と実践の融合─京大はなぜフィールドに行くか」というタイトルでお話くださり、「協定のための協定なら結ばない。継続と発展が見込める場合にだけ協定を行う。今日の協定も、今年度は準備期間で来年以降が本番と考えている」との言葉がありました。

最後に、京都大学教育学研究科大学院生・金智鉉さんの講演。「都市のなかで生きる─私の異文化体験から」とういタイトルで、異文化交流の重要性を説き、障害者・高齢者にやさしい社会がみんなにやさしい社会であるとしめくくりました。

20時半頃無事閉会となりました。万事、滞りなく終了し、やれやれと思ったのも束の間、朝日新聞、京都新聞の記者に記者会見を求められ、川崎先生、前平先生、野殿区長、童仙房区長、私が職員室へ移動して、会見を行いました。記者会見は2時間に及びました。その後、軽く打ち上げをして、京大チームは小学校で初のお泊まり。

私個人の感想ですが、調印式は参加人数、式進行ともに、予定通りという感じです。今後の活動を展開するための地域側の基礎固めが進んだように思います。それが一番の収穫だったと私は考えています。

企業などの組織と違い、地域はリーダーの指示で皆が動くというものではありません。いろんな考えを持つ人たちの間でコンセンサスが形成されていき、それに伴って何事かができていきます。たいがいの地域では、コンセンサスをつくることそのものが困難です。地域を対象に何かを作り上げることができれば、たいへんなことです。箱物作りとは全く異なる究極の地域活性でしょうし、大学の実践と研究においても、たいへんな実績ではないかと思います。

京都大学大学院教育学研究科のサイトにも、当日の様子が掲載されています。

調印式 野童太鼓

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