「関西圏の田舎」というと一般的に、雪の深い北部を中心に、わらぶき屋根の風景を思い描く人も多いかと思います。しかし、この北部というのはもうすでに行政などの手も行き渡っていて(主に京都府では)、モモと私の希望に合うような地域がありませんでした。それに、なんといっても都会育ちの私たちにとって、雪の多い地域で暮らしていくことは自信がありませんでした。そんなわけで、私たちの目は自然と中南部の過疎地に向かいました。
私たちは田舎暮らしをするにあたり、「不便さ」にはなんの抵抗もありません。それよりも、田舎なら田舎で、とことん不便な地域の方が暮らし甲斐がある・・と感じています。なので、行政などからいろいろと補助を受けたり、もうすでに都会との交流などが頻繁に行われている地域には、まったく興味を惹かれないということもありました。
関西圏でも特に過疎化が進んでいる地域のひとつに、奈良県中部から和歌山県あたりにかけて、険しい山がつらなる地域があります。私たちが現在住んでいる京都府南部周辺の山と奈良や和歌山あたりの山とは格段に険しさが違います。私たちは、村の人口がどんどん減っていくのもわかる気がするような、まわりは険しい山で囲まれた、ある村を訪ねることにしました。人口が1000人を割っていくような村に、Iターンを希望する若い?カップルが行けば、役場でもなにかしらよい対応をしてくれるのではないか・・という気持ちも少しだけありました。
田舎で家を探す時は、まず、その地域の役場を訪れるということと、地元の人から直接話しを聞いてみる、ということが大事になるかと思います。それから、1回行ったからといって簡単に決まるものでもなく、気に入った土地があったら何回でもそこに通うくらいの気持ちがなければ、なかなか地元の人にも信用されず、自分たちの欲しい情報でさえ、手に入れることはできません。最近では新興宗教の事件の影響のためか、いきなり若い男女が「田舎で家を探している」と地元の人に尋ねてみても、そっけない対応をされることも度々ありました。
”そんなに田舎なら最悪でも自分たちの希望するような物件が1件ぐらいは見つかるだろう・・・”という私たちの考えは、すぐに甘いものになりました。仮に、お金をかければどんな地域であろうとも、自分たちの思うような家を建てることはできます。しかし、私たちの場合はいずれの土地であろうとも、「自分たちの家を建てる」というものではなく、あくまでも「貸してくれる家」を探すことが目的でした。
なぜなら私たちの希望するライフスタイル(田舎暮らし)とは、最初から自分たちの世界(生活する場)をすべてつくってしまうということよりも、元々在るものに自分たちで手を加えながら、そうした中で地元の人たちとも交流をしていく・・というような、人と人とのつながりを大切にする暮らしがしたいと考えていたからです。なので、最初から「家を建てる」という気持ちは、私たちの中にありませんでした。