生活情報、とくれば占いがつきものですが、占い、といっても、いろいろあります。まったくのお遊びから、うさんくさいもの、霊感によるもの、古くから学問としても研究されてきたものなど。
ちょっと前から、阿倍晴明(あべのせいめい)が、マンガなどにもなって、ブームです。彼は、平安時代に活躍した陰陽師(おんみょうじ)。呪術をおもうままにあやつり、後の世に神格化されていきました。晴明がよりどころとしたのは、陰陽道(おんみょうどう)といい、古代中国にはじまったものです。森羅万象(この世のありとあらゆるもの)を創りあげているのは、「木火土金水(もっかどこんずい)」の5つ、さらにそれぞれに陰と陽をもたせて、10通りの要素。自然を畏(おそ)れ、敬い、崇(あが)める思いが、こういった思想を生んだのでしょうか。
その後、陰陽五行説が人間の生死をも論じるようになり、四柱推命、九星、二十八宿、易などの占術に応用される用になっていきました。そして、これらは、古くにおいて、推命学、易学などと、学問としても研究されてきました。東洋医学にも深く関わっています。ですから、最近使われる「占い」という表現はふさわしくないのかも知れません。
もっとも、現代の科学において、この世のすべてが陰陽五行説で説明できるとするのはナンセンスでしょうし、ましてや、そんなものが人生を左右するなど、お笑いなのかもしれません。でも、古くから、積み上げられてきた人間の知恵を、無思慮に捨ててしまうのは、傲慢ではないかとも思います。自然に対する姿勢、人生を見つめる目、命の尊さ、現代に生きるわれわれが、ちょっと立ち止まって、耳を傾けてもいいのではないでしょうか?
陰陽五行説は、○か×か、という短絡的な結果よりも、自分の生きる道を自分で考えるためのヒントを提供する、という使い方がふさわしいように感じています。すぐに答えをほしがる人には、あまり向かないかも知れません。でも、結果をじっくり受け止めれば、「当たる、はずれる」などと関係なしに、じわっと思い当たることもあるでしょうし、自分の気持ちを整理するてがかりになることもあると思います。 よろしければ、お試し下さい。