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ボランティア体験記

骨髄移植体験記 その6

昼食後、 つれあいがJRを使って病院へ来た。手術の3日後のこと。じんじんと腰が重く、痛い。同室の方々にあいさつして、看護婦さんにあいさつして、病室を出た。受付で精算するが、私には1円も支払いはない。駐車場代は立て替えたが。外の世界をまぶしく感じたのを覚えている。病院の外へでたのは、入院したとき以来だ。たかが5日間の入院だったが、娑婆が恋しかった。軽く前屈みの状態で、駐車場へ向かって歩いた。

帰りはつれあいが運転を してくれた。私が運転をするのは、無理ではなくとも、しょうしょう危ない。助手席に座っているだけでも、腰がシートにすれると、ヒリヒリするので、腰をずらしてなんとも情けない格好ですわっていた。帰り道、野山を越えていく道沿いに、キリン草が生い茂っていたのだが、その光景が、つれあいの目に焼き付いた。私は覚えていないのだが、つれあいは、1年後にキリン草を見たとき、病院から帰り道がフラッシュバックしてきたという。もっとも、私は周囲の景色を楽しむほどの余裕はなかったのだが。

家につくと、 疲れてしまった。腰がすれると、痛いばかりか、体力を消耗するらしい。それから2週間ほど、自分で車を運転したものの、シートで腰がすれる痛みはかなりのものがあった。歩くだけでも、なかなか体をまっすぐ立てられない。日にちが薬と思えども、目に見えて回復をしなかった。腰の痛みは、ほぼ1ヶ月続いた。その間は、日常生活に支障がでるほどではなかったが、本調子には戻れなかった。同じことを長時間続けられなかった。

術後検診が あったのは、退院の1ヶ月後。腰の痛みがやわらぎかけていた。「骨膜下出血」が、痛みの原因だったそうだ。手術のさい、出血が滞らないように、細心の注意を払って針を刺したり抜いたりしてくださったのだが、それでも、血がもれてしまうことがある。外に出血する分にはそれほど問題はないのだが、骨盤の表面をおおっている薄い膜、骨膜と、骨とのすき間に、血がたまると、こんなふうにじんじん痛いそうだ。血が引いていくのに、1ヶ月ほどかかるが、危ないものではないとのこと。それ以外、血液の状態の回復などは順調だった。1ヶ月をすぎると、ぐんと楽になっていき、1ヶ月半で、自覚症状が消えた。

患者さんの家族からの手紙が 、退院して3ヶ月後に届いた。正直、もう来ないものと思っていた。患者さんのすべてが手紙を書くわけではないと、コーディネーターさんから聞かされていたし、長い時が流れたので、あきらめていた。ドナーにとって、報いは、唯一、患者さんからの手紙だろう。それが来ないとなると、むなしさを感じざるを得ない。もしかしたら、骨髄を提供したことを後悔さえするかもしれない。私がうけとった手紙には、一度しかドナー宛の手紙が許されないので、退院してから良い知らせを届けたかったと書かれていた。患者さんは、順調な回復を遂げて、無事退院されたらしい。いろいろな思いが、いっぺんに吹き飛ぶほど、うれしかった。私にとって、最高にうれしいのは、患者さんやご家族が、別の機会に、どんな形でか、どこかの誰かの命のために、力を尽くそうとされることだ。自分がそのきっかけを提供できたらいいなと、心の底から、そう思う。

モモ 記

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