京都、といってもここは、京都府のいちばん南、奈良との県境まであと少しというところ。相楽郡加茂町の南の方は、当尾地区といって、自然と歴史に恵まれている。
当尾地区は、歴史の古い寺々や、石仏たちが随所にあって、ハイキングがてら石仏巡りを楽しむことのできる地であって、行楽シーズンにはたくさんの人が訪れる。
当尾の観光スポットのひとつに、浄瑠璃寺がある。奈良時代の開基とも、平安時代の開基とも伝えられるこのお寺、中にはいると、国宝や重要文化財が目白押しというから、たいへんなお寺である。
そんな浄瑠璃寺のすぐ門前に、あ志び乃店がある。
店のたたずまいは、静かで素朴で、門前の風景に、よくマッチしている。自然食の店にありがちな、はじめての人が入りにくいような強いこだわりがただようわけでもない。さりげなくも、穏やかな心地よさが、通りゆく人を包み込む。自然に対して、自然体、といえば、いいだろうか。
たくさんの花や木々に迎えられながら、店にはいる。広くもなく、狭くもない、その空間がまた、絶妙に居心地が良い。木を基調にした店内のつくり、不必要な飾りのないところに、ほっとした安らぎをおぼえる。
入り口の脇には、手作りこんにゃくや、ごまどうふ、漬け物なんかが並んでいて、おみやげに買って帰ると、喜んでもらえそう。ひとつひとつの商品に、このお店の空気がこめられている。だから、持って帰りたくなるのかも知れない。
時刻は昼過ぎだが、地元の人や常連さんたちが来ていた。観光客もおおぜい訪れるとのこと。
私たちは、とろろ定食と山菜うどんを注文した。とろろ定食は、新鮮な卵、手作りこんにゃく、不思議な味の精進しぐれ、自家製味噌のみそ汁がとくにおいしい。山菜うどん定食は、こしの強い麺と、いい味の出ているめんつゆ。大きなエビ天や山菜など、具ももりだくさん。おなかいっぱい、おいしくいただいた。
食後には、抹茶アイス。甘さ控えめ、抹茶はちょっと濃いめ。上品な味わい。
食事のあと、庭に出てみた。
梅雨の中休み。あじさいが一面に咲いていた。庭は、ずっと奥が広い。歩道がついていて、散策できる。ここには、四季折々、様々な花が入れ替わり立ち替わり咲くという。別の季節に来ると、またちがった印象をうけるだろう。この庭園だけでも、来る値打ちはある。
あ志び乃店では、店のまわりの風景や、お店の料理など、インターネットでも発信している。もっと多くの人に、広く知ってもらおうと、いちから勉強しながらWebサイトをつくっている。こちらも、手作り。業者に委託して作ってもらったんでは表現できない「あ志び乃店」らしさいっぱいのWebへも、ぜひ、おとずれてほしい。
URLは、http://homepage2.nifty.com/ashibinomise/
ところで、あ志び乃店には、もうひとつ、特徴がある。このあたりの地区で、たった1軒だけの、茅葺き屋根なのだ。このページのいちばん上の写真に少し見えている。京都府北部の美山町は、茅葺き屋根をPRし、みごとな町おこしをなしとげた。いまも、町として茅葺き屋根を保存し、メンテナンスしている。あ志び乃店の茅葺き屋根は、1軒だけというのが、ユニークでもあり、困難でもある。私たち、よそから訪れるものは、ぜひ残してほしいと願うが、時代が下がるとともに、メンテナンスするための技術も人も消えていく。なにかいい情報をお持ちの方、または励ましたいという方は、あ志び乃店へ。