森は、人間にとって、「いいこと」をしてくれます。
まず、森は二酸化炭素を酸素に変える工場です。植物は、水と二酸化炭素を原料とし、太陽の光をエネルギーとして、光合成によって必要な養分を作り、酸素を出して成長します。
次に、森は人間に必要な飲料水を作ります。雨水はそのままでは飲めません。雨が森に降って地下に浸透し、わき出た水を飲料水として利用できます。
森は災害を防ぎます。森には、水をたくわえ、少しずつ川へ流す働きがあり、水が流れる量を調節しています。そうして、洪水や干ばつから守ってくれます。大雨が降った時も、木の根が土や石をしっかりつかみ、土砂崩れを防ぎます。
森は、人間に「木」という資源をもたらします。材木や紙の原料として、なくてはなりません。
森は環境を保全しています。雨が降りやすい気候を作り、気温の調節をし、風や騒音を防ぎます。落ち葉は土に返り、雨に流され川へ出ます。魚には、その養分が必要です。
最後に、森は人に癒しを与えます。山へ行くと気持ちが良いと感じるのは、木々がフィドンチットやテルペンという成分を出しているためです。木が多く生えていることで、効果が出ます。
かつて、というか、つい30年ほど前までは、人間は森とともに暮らしてきました。多くの農村と同じように、童仙房でも、山の木を切って炭を焼いたり、椎茸の原木にしたり、材木として利用したり、あるいは薪として燃料にしたりしてきました。童仙房で自動車が走るようになったのは40年ほど前で、そのころまでは、今テープを巻いた、赤い道や青い道を、地域の人たちがふつうに、生活路として通っていました。
人間が森の木々を利用したり下草を刈ったりすることで、森はたえず更新され、若々しさを維持していました。人間が森と関わることは、森にとっても、「いいこと」でした。人間と森がいい関係を保っていくことが、「仙」の文化です。
近年は、炭も、原木椎茸も、材木も、薪も、何もかもが、経済価値を持たなくなったことから、森へ人間がほとんど入らなくなり、細い木々がひしめき合って、光が差し込まず、木々は大きくなれず、薄暗い足もとには笹が生い茂るという好ましくない状態となっています。
人間がほどよく手を入れてこそ、植生は豊かとなり、生物多様性が実現します。
森を守り育てる仕事として、5つぐらいのことがあります。
1. 植林 山に木を植える
2. 下刈り 木が早く成長するように雑草を刈り取る
3. 枝打ち 節のない木を作るため枝を切り落とす
4. 間伐 木を間引くことで、木の成長を助ける
5. 伐採 木を切り倒し運び出し、木材に加工する
杉やヒノキは、切ってしまうと再生しないので植林が必要ですが、自然林は切ってもまた生えてくるので、植林は基本的に必要ありません。草刈りと、除伐がおもな作業です。要は、日が当たるように、すかせてあげることです。
森は、所有者だけでなく、都市住民へも恵みをもたらしているのだと考えられるようになり、都市住民が積極的に森林保全をしようという動きがでてきました。また、最近は企業のCSR活動や地球温暖化対策が重視されるようになってきました。
仙の森では、積水化学グループさんのモデルフォレスト活動と、大阪の生協・アルファコープさんの「がっこうの森をつくり隊」活動が展開されています。
では、モデルフォレスト活動からご紹介します。こちらへ。